故ポール・ニューマンの監督作品で、実生活での妻であるジョアン・ウッドワードが主演、次女役として実娘のネル・ポッツが演じています。
勿論この??な題名に惹かれて見たのですが、これが深い内容でした。
家事や子供の教育に無関心な被害妄想気味な未亡人と2人の娘。
老人への部屋の間貸しや電話セールスなどで生計を立てる日々。
姉はチアリーディングをしたり人前で母親をまねて笑いを取るなど、社交的で明るく見えても、精神的に追いつめられると癲癇発作を起こしたり、若かりし日の母似の自分の行動や性格に悩むことも。
また、妹は内向的ながらも科学に強い興味を持ち、まるで現実逃避するように実験に没頭する毎日。
母親はだらしなく感情的な女性で、娘たちを理解しようとはしません。
自分の人生すらチーズケーキ屋を開きたいという夢物語は語るものの、そのための努力は一切なしで攻撃的な性格。
姉も積極的に見えるものの精神的に脆く、しっかりと自分の人生を考え、地に足がついているのは妹だけ。
そんな彼女の夢中になった実験とは、ガンマ線を照射したキンセンカの成長記録をとること。
キンセンカの種に大量の放射線を照射したもの、中位のもの、少ないものの成長を観察し、その実験結果を発表して学校主催の科学フェアで彼女は優勝します。
その結果はというとガンマ線を少量、中位のものは普通に花を咲かせたものの、
大量に照射したものは全く育たないか、突然変異を起こすか、というものでした。
母親の出口のない閉塞感、長女の若さゆえの絶望感もよくわかりますが、なんといっても次女の実験結果から読み取れるテーマがよかったです。
ガンマ線を照射されたキンセンカはこの二人の娘と同じであって、家庭環境、親の考え方という影響をもろに受けて同じ轍にはまってしまいそうな娘もいれば、全くの突然変異を起こす娘もいる、というように受け取れました。
彼女は、なにせ科学オタク。『原子』という言葉に限りない魅力を感じ、自分身体を構成する原子も母親からの影響に侵されず、突然変異を起こせるのだと確信します。
自分の体を構成する何億という原子、その一つ一つに色々な記憶を持ち、その可能性は限りなく、これは過去世と現世の自分の関係とよく似ています。
過去世で経験していることは確かに得意だったり、慣れているのでうまく出来たりしますが、やはり大事なことは自分がどうしたいか、どうなりたいか。
そしてなりたい自分になれる、誰でも自分の中のどの原子が一番力を持つかは未知数。
突然変異は起こせるのです。